一般財団法人君津健康センター一般財団法人君津健康センター

健康コラム君津健康センターの医師・スタッフから、
こころとからだが元気になるコラムを発信していきます。
みなさまの健康生活にぜひお役立てください。

今年も1年健康に過ごしましょう
〜健康に過ごす食生活の基本〜

「1年の計は元旦にあり」といいますが、みなさんは今年の抱負はお決まりですか。

抱負は人それぞれだとは思いますが、例えば資格取得やマイホーム購入、独身の方は人生の伴侶を見つけたいなどあるでしょう。その中でも子供から大人まで万人に共通するテーマは「健康」です。私たちは健康で過ごして当たり前・・・といった考えを前提に様々な計画や将来像を思い描いていることはありませんか?「健康は富に勝る」「健康は多いなる財産」と言われるようにとても幸せなことです。楽しく元気に過ごすためにも今年は健康をテーマにした抱負を加えていただきたいと思います。

食事と健康・・・ 健康の抱負を決めるにあたりまずは自分のなりたい健康(身体)を想像してみましょう。例えば「もう少し痩せたい」「血圧を下げたい」「メタボから脱出したい」「体力をつけたい」などがあるでしょう。中国では「福は口から、病も口から」ということわざがあるそうです。よい食事は心身を健康にし、幸せをもたらせますが、それが乱れると病気になりかねない。という意味だそうです。「医食同源」や「腹八分目に医者いらず」あるいは韓国では「ご飯は薬より優れ

ている(病の治療には薬を飲むよりも食べ物をしっかり摂ったほうがよい)」ということわざが示すとおり、食べ物が健康を左右することは先人もしっかりと認識していたようですね。

健康に過ごす食生活の基本

【腹八分目】「腹八分目に医者いらず」とはよく言ったものです。個人によって1日に必要な摂取エネルギーは違います。さらに毎日同じエネルギー量で良いわけではありません。デスクワーク中心の日とスポーツをした日は消費エネルギーが違うため当然摂取エネルギー量も違っていて良いのです。これを毎日細かく計算しながら食事をすることは不可能です。

健康のためには「腹八分目」の一言で十分だと思います。(ただし糖尿病や血圧の治療をされている方は別です。)満腹、腹一杯、これ以上食べられない、食後に動く気になれない・・・・という食事をしていたら、注意が必要です。少しゆとりをもった腹八分目の意識がきっとあなたを健康体重に導いてくれます。

早食いで困っている方へ
1食の目安は15~20分程度です。食べる速度と体重の関係をみると、食べる速さがゆっくりであるほどBMI(肥満度)が低い傾向にあるようです。早食いを修正することも良好な体重調整のポイントになると言えるでしょう。早食い防止のコツは・・・・
よく噛む ◆一口を小さくする ◆途中で箸を置く ◆固い、歯ごたえのあるものを食べる
骨付きなど食べるのに時間がかかるものを選ぶ ◆汁物は熱くする ◆会話に参加する

減量を決意した方へ

食事ではわかりやすいご飯の量を控えることから始めてみましょう。山盛り1杯300gを1杯200gにすると160kcalダウンになり2ヶ月で1.4kgの減量になります。
ご飯100gはコンビニおにぎり約1個分です。3食にわけると33g。
この一口が体重を左右することになります。
これならチャレンジできると思いませんか?

【栄養素バランス】栄養素のバランスが整った食事が大切だということは多くの方がご存知だと思います。栄養素にはそれぞれ働きがあるため不足すると体調不良や病気になりやすくなってしまいます。不足でもとり過ぎでも健康障害が発生してしまいます。さらに栄養素はお互いに助け合って様々な働きをしています。例えばエネルギーを作り出したり、吸収を高めたり逆に吸収させないようにガードして体を健康に保っているのです。1つの栄養素だけを積極的に摂取したとしても思った効果が発揮できないということです。栄養素バランスが整っていると全ての栄養素が無駄なく体内で使われることになります。逆に偏った食事や菓子類、炭酸飲料水の摂りすぎはエネルギー効率を悪くし脂肪蓄積を高めたり、抵抗力が衰え風邪を引きやすくなるなど不健康になってしまうのです。

思い当たる節はありませんか?まずは野菜不足を克服すれば難しく考えなくても大丈夫です!

<お互いに影響しあう栄養素>

関係する栄養素 体内での働き・効果など
糖質⇔ビタミンB1、B2 糖質がエネルギー源として役立つためにはビタミンB1が必要。不足するとエネルギー代謝が落ち体脂肪増加にもなりかねない。
たんぱく質⇔ビタミンC たんぱく質の合成にはビタミンCが不可欠。筋力をつけたい場合はたんぱく質とともにビタミンCの摂取も心がける。
脂質⇔ビタミンA、D ビタミンA、Dは脂溶性のため脂質に溶けて吸収される。
カルシウム⇔リン*、ビタミンD ビタミンDはカルシウムの吸収率を高める。リンの過剰摂取はカルシウムの排泄につながるためリンの摂取には要注意。
ナトリウム⇔カリウム** ナトリウムとカリウムは均衡バランスにあるためナトリウムの排泄を高めたい場合はカリウムを多く摂取するとよい。

*リン:ふつうの食品にも含まれているが食品添加物(外食、加工食品、清涼飲料)に多い
**カリウム:果実類、野菜類、イモ類に多い

そんなに食べていないのに太ると感じている方へ
栄養素の中には不足すると太りやすくなるものがあることはわかっていただけたと思います。その他食べるタイミングも重要です。夜遅い時間や就寝間際に食べたものは消費されずに体脂肪へと蓄積されてしまいます。とくに22時以降の飲食は要注意! できるだけあっさりした食事内容を心がけましょう。

血糖値を下げたいと思っている方へ
血糖値を下げるためには食生活の見直しが必要だということはご存知だと思います。わかってはいるけど変えられない。というのが多くの方だと思います。そんな方にこそお試しいただきたいのが「食事の最初に野菜を食べる」ということです。野菜に含まれる食物繊維が食後の急激な血糖上昇を抑えてくれます。

まずはこれだけでも始めてみませんか?


 

「タニタの社員食堂」は1食500kcal塩分、油分をカットしても噛み応えのある食材で満腹感はアップ!「あごが疲れた」と感じるほど野菜をたっぷり組み合わせることがポイント。野菜は1日350gが目標です。

【アルコール】健康の抱負を決める場合には避けては通れないテーマだと思います。
アルコールは飲み方さえ間違えなければ「百薬の長」ともいえるでしょうが、肝臓から疲れたサインが出ているにも関わらず飲み続けている方はいませんか?
【適正飲酒の10か条】
1.談笑し楽しく飲むのが基本です
2.食べながら適量範囲でゆっくりと
3.強い酒薄めて飲むのがおススメです
4.つくろうよ 週に二日は休肝日
5.やめようよ きりなく長い飲み続け
6.許さない他人への無理強い、イッキ飲み
7.アルコール、薬と一緒は危険です
8.飲まないで妊娠中と授乳期は
9.飲酒後の運動、入浴要注意
10.肝臓など定期検査を忘れずに

*アルコールの適量*
(社)アルコール健康医学協会 ホームページより
日本酒1合・ビール500ml・焼酎100ml・ウィスキー60ml・ワイン200ml

肝機能のデータを改善したいと思っている方へ
現在の飲酒習慣がよくないと理解していることは重要です。
「減らす」「やめる」「飲み続ける」の中から自分に合った方法を見つけていきましょう。
◆1日あるいはある期間の飲酒量の上限を決める
◆1ヶ月(あるいは1週間)に全く飲まない日数の下限を何日と決める
◆飲酒量低減のための具体的な対処法を決める
◆飲酒量低減のための具体的な対処法を決める

“体を壊さずにこの先も一生楽しくアルコールと付き合う方法を真剣に考えてみましょう”

【糖分】おいしいお菓子や甘い飲料は心身の休息になります。そして人と人をつなげるコミュニケーションにもよく使われます。旅行のお土産やお見舞い、冠婚葬祭等の記念日には欠かせないものでしょう。食べる時間や適量を知って上手に付き合っていくことが大切だと思います。

例えば缶コーヒー1本(ショート缶)は約70kcalです。

「ノンカロリー」「低カロリー」「ノンシュガー」「微糖」を選んでいるから大丈夫と思っていませんか?これらの表示は必ずしも0kcal、砂糖0gとは限りません。

【塩分】健康食といわれる和食の唯一欠点は塩分が多くなりやすいということです。しょうゆやみそなしの和食は考えられません。「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では食塩摂取の目標量男性9.0g/日未満 女性7.5g/日未満です。食塩と健康とのかかわりでいちばん重要なことは高血圧との関係です。食塩をたくさんとる集団ほど高血圧の人が多いという研究結果があります。

減塩をして血圧を下げたいと考えている方へ
基本はうす味 ◆塩辛いものは食べる量に気をつける ◆加工食品にも要注意
◆料理は温かいうちに食べるとうす味でも美味しい ◆汁物は1日1杯
◆香辛料や酢を使って味に変化をつける ◆減塩調味料を上手に使う

健康の抱負を決めるヒントは見つかりましたか?

絵に書いた餅にならないためには家族や職場の方に宣言をしたり、数字目標を決めると達成効果が高まります。みなさまにとってこの1年が健やかな年になることを願っております。

「健康さんぽ53号」

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