皆さんこんにちは。
近年、私たちの仕事・生活は、スマートフォン(以下、スマホ)・タブレット端末・パソコンなどの様々な情報機器に囲まれていて、これらを使用せずに生活することは難しくなってきています。実際に私もスマホやタブレット端末、パソコンを出先に忘れてきてしまったときには、不便さを感じてそわそわし、隙あらば取りに帰りたくなります。特にスマホを忘れたときには、もし誰かと待ち合わせをしようにも、地図が出せずに待ち合わせ場所にたどり着けず、連絡も取れず、ひょっとすると交通系ICを使用できず交通機関の利用すら危ぶまれるかもしれません。
そのような便利な情報機器の普及ですが、一方で健康影響については、近年問題視されています。便利さを享受する代わりに健康を損ねることがないように、情報機器との上手な付き合い方について、今回は考えてみようと思います。
皆さんは「VDT作業」という言葉を聞いたことはありますか。
VDT作業とは、「ディスプレイやキーボード等によって構成されるVDT(Visual/Video Display Terminal)機器を使用して、データ入力・検索・照合、文書作成・編集・修正、プログラミング等を行う作業」と定義されています。ただ近年では、情報機器の種類や活用状況が多様化し、「VDT作業」→「情報機器作業」と表現も変化しています。情報機器作業とは、「VDT作業だけではなく、パソコンやタブレット端末等の情報機器を使用して、データの入力・検索・照合等、文書・画像等の作成・編集・修正等、プログラミング、監視等を行う作業」を言います。
厚生労働省の調査(平成20年)では、下記のような結果が出ています。(少し前のデータなので前述の「VDT作業」に関しての調査です。)この調査から、後述する「筋骨格系症状」「視器症状」の身体的な症状については、大多数の人に見られる症状であることが分かります。
情報機器作業による健康影響は、「筋骨格系症状」「視器症状」の身体的な症状と「ストレス症状」に大きく分けられます。どのような症状がでるのか、どのような対策をすればよいのか、それぞれ見ていきましょう。
筋骨格系症状:首や肩のこり、腰痛、背部痛、腱鞘炎、頸肩腕症候群などがあり、姿勢の拘束性が強く、持続的な筋収縮を強いられることが原因で起こります。また、気が付かずに不自然な姿勢をとることも多いため、いっそう筋骨格系への負担が大きいです。
対策➀:作業姿勢
対策➁:作業時間と休止時間
対策➂:体操・ストレッチ
視器症状:眼疲労、眼精疲労、ドライアイ、一時的な調節機能低下など、眼の酷使によるピント調節機能の障害や瞬きの減少による乾燥などが原因として考えられます。
対策➀:照明
対策➁:作業姿勢、作業時間
ストレス症状:テクノストレス症候群という言葉を耳にしたことはありますか。テクノストレス症候群は『テクノ不安症』と『テクノ依存症』に分けられます。『テクノ不安症』は、中高年に多く見られ、コンピューターへの苦手意識から、パソコンの前に座っただけで不安になり、冷や汗、震えなど、拒否反応を示し、高じるとイライラ、強い絶望感、抑うつ状態に陥ることもあります。『テクノ依存症』は、パソコン、インターネットなどにのめり込み、部屋に閉じこもって対人関係を嫌い、実生活にも支障をきたすものを指します。精神医学的には多くは適応障害の範疇に属しますが、高じると不安障害、気分障害にもなり得ます。近年、ネット依存、ゲーム障害と診断された新規患者数は急増しています。
職場での情報機器作業による健康障害防止のため、健康診断が行われており、君津健康センターでもこのような健康診断を実施しています。下記に該当する作業者に対しては、情報機器作業に係る健康診断を行うように定められています。
情報機器作業の健康影響は、自覚症状が先行する点が特徴的であるため、特に自覚症状に着目して実施します。また、検査項目については眼科的検査と筋骨格的検査を実施することがあります。
※テレワークのときに気を付けること
コロナ禍になってテレワークの機会も増えました。厚生労働省からは自宅等でテレワークを行う際の作業環境の整備について、まとめたものが出されています。そのような機会がある人も、ない人でも自宅でのパソコン使用時に気を付けることが分かりやすく記載しているので、是非参考にしてみてください。
いかがでしたでしょうか。今回の原稿を書きながら、ふと気が付くとパソコン使用時の自分の作業姿勢が悪かったり、集中し始めるとついつい何時間も作業し続けていたり…。改めて自分自身も気が付く点が多かったです。意識することが第一歩だと思うので、情報機器と上手にお付き合いすべく、一緒に心掛けていきましょう。
「健康さんぽ97号」
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