一般財団法人君津健康センター一般財団法人君津健康センター

健康コラム君津健康センターの医師・スタッフから、
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アンサンブルの楽しみ
~和を大切に~

医師 三浦 正巳

アンサンブルはもともとフランス語で“調和”を意味することばです。数学では集合、服飾では2つ以上のものを組み合わせて着ることを言います。一般的には2人以上で合わせて音楽を演奏することを言います。1人でピアノを弾くことも楽しいのですが、アンサンブルでは相手の考え、気持ちを理解、尊重し、お互いに歩み寄り、音楽を作る。合わせることで教え、教わることも多く、新しい発見をすることもあります。1人のときよりもさらに感動的な演奏ができる場合も多くあります。

君津中央病院から君津健康センターに転勤して、学生の時以来ブランクだった合唱を再開しました。十数名の少人数のアンサンブルですが、これがとても楽しく、特にきれいに合ったときは最高です。連帯感も生まれます。ステージも君津市民文化ホールはじめ、県文化会館、浜離宮朝日ホールなどに乗りましたが、聴衆のいる緊張感も捨てがたいものがあります。本番で(これがなかなか難しいのですが)納得のできる、いい演奏ができたときは感激します。

音楽好きの医者仲間で集まって音楽会を栃木県で2度開催、参加しました。この時は、ピアノでプーランクのフルートとピアノのためのソナタ、フォーレ・エレジー(チェロとピアノ)、ラフマニノフのピアノ連弾等、楽しく演奏させていただきました。互いの気持ち、解釈、表現が一致したときは何ものにもかえがたい喜びがあります。

音楽に限らず、何事も共同作業が必要な場合には相手の気持ちを察し、お互いに合わせていくことが大切です。話し合い、相談することもたいへん重要です。場合により妥協する必要もあるでしょう。しかしそうすれば物事はスムーズに進み、さらに仲良くなれるのです。同じ仕事をするのであれば、仲良く、楽しくやりたいですね。

余談ですが、アンサンブルにもっとも向かないピアニストがいます。現在ではポゴレリチでしょうか。過去にはホロウィッツ。両者とも私のもっとも敬愛する天才ピアニストなのですがどうも我が強い。特にホロウィッツはピアノ協奏曲の際、指揮者のテンポ設定が遅いのに腹を立て、猛スピードで弾いて自分は先に弾き終わり、曲の途中でさっさと出て行ったという逸話があります。大天才にのみ許されることですね。彼に対抗できるのは妻の父、トスカニーニだけです。


【右から2番目が筆者】


【ピアノを演奏する筆者】

「健康さんぽ58号」

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