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スイス登山鉄道の旅

医師 赤星 みどり

この夏休みに夫と2人でスイスを旅行しました。チューリッヒからジュネーブまでスイス横断の旅です。この間3つの山、ユングフラウ(4158m)、マッターホルン(4478m)、モンブラン(4810m)が間近に見える展望台まで行き、山を眺めながらのハイキングも経験しました。

スイスは鉄道網が発達しており、登山鉄道を乗り継いでの移動です。目的地に着くまで3~4回の乗り換え、これを4回も繰り返しました。重たいスーツケースを抱えての乗り換えは心配でしたが、何とか乗り遅れることなく目的地に到着できました。列車は一度も遅延することなく、日本並みに時間は正確でした。

全長9.3kmのユングフラウ鉄道は、16年の歳月をかけて1912年に開通。アイガー北壁の岩盤を貫くトンネルを掘り、一気に3454mの標高まで登るという登山鉄道です。100年も前にこのような鉄道を作ったスイス人の発想と技術力は驚くべきものがあります。トンネルの途中の岩壁に大きな窓が設けられていて、列車はそこで一時停止し、下車して外の景色を見ることができます。眼下には一面にまぶしいほどの氷河が広がっていました。ところが、標高1000mの地点から一気に3000m超えまで登り、何とまさかの高山病になってしまいました。終点のユングフラウヨッホ駅に到着後、頭痛、めまい、吐き気などに悩まされ景色をゆっくり楽しむ余裕がありませんでした。おそらく時差ボケや旅の疲れも影響したのだと思います。

マッターホルンは四角錐の尖った形をしており、周囲に高い山がない独立峰で“孤高の巨人”と呼ばれています。事前に天気をチェックして晴れの時をねらって登り、運よく湖に映る逆さマッターホルンを写真におさめることができました。

ヨーロッパアルプス最高峰のモンブランを望む展望台(3842m)は、フランス側のシャモニから登ります。2つのロープウェイを乗り継いで、1034m地点から一気に富士山山頂より高い地点まで行きます。今度は体が慣れてきたのか、幸いなことに高山病にはなりませんでした。展望台からの眺めは目の前に氷河が広がり、遠くにはマッターホルンも見え、まさに絶景でした。この地点からモンブランの頂上を目指す本格的な登山者の姿も目にしました。

登山鉄道から見える風景は“アルプスの少女ハイジ”の世界そのものです。断崖絶壁の上に牧草地が広がり、家が建っています。一体どうやってそこまで行くのだろうと思ってよく見ると、ちゃんと道路が通っていました。

スイスの山は、初級者から上級者向けまで様々なハイキングコースが整備されています。私達が選んだのは初級者コースの下りのみでしたが、遠くからは平坦に見える道も実際歩くと勾配は結構きつく、途中砂利道だったりで、思ったより体力が必要でした。しかし、アルプスの山々を眺めながらのハイキングは本当に気持ちのいいものでした。

今回の旅行では山歩きだけでなく、スイスの代表的な都市も巡りました。チューリッヒ湖のほとりに発展した商業・金融の中心地のチューリッヒ、中世の街並みが残る首都のベルン、国連や赤十字など多くの国際機関があるジュネーブの3都市です。中でもレマン湖を臨むジュネーブは、様々な人種がひしめいていて国際色豊かで活気のある都市でした。

アルプスの雄大な自然、古い街並みと近代的な国際都市など、小国ながら様々な顔を持つスイスの旅は、思い出に残る旅となりました。

「健康さんぽ76号」

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