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健康コラム君津健康センターの医師・スタッフから、
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健康と油

料理に使う油(オイル)を選ぶ時に困ったことはありませんか。最近は市販の油の種類が多いことに驚きます。油は健康に対してマイナスのイメージにとられやすいかもしれませんが、体には必要不可欠な栄養素でもあります。さらに必須脂肪酸といって体では合成できないものは口から摂取する必要があります。油を敬遠せずに上手に料理に取り入れていただくために、コマーシャルやパッケージの言葉を参考にして上手に選びましょう。油の特徴についてご紹介いたします。

脂肪酸の種類 健康との関係 ◆脂肪酸の名称と食品例
飽和脂肪酸 ・飽和脂肪酸をとりすぎるとLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪を増やす
(心疾患などのリスクを高める)
◆酪酸 全乳、バター、チーズなど
◆パルミチン酸 パーム油、ココナッツ油、牛脂、
豚脂など
1価
不飽和脂肪酸
・HDL(善玉)コレステロールを増やし(心疾患のリスクを下げる)、LDLコレステロールを減らす ◆オレイン酸
オリーブ油、なたね油、落花生油、米油、
カシューナッツ、アーモンド、アボガドなど
多価
不飽和脂肪酸
・飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に置き換えると、心疾患のリスクを下げる 【n-3系】
◆α-リノレン酸 しそ油、えごま油、あまに油など
◆EPA ◆DHA 青魚、魚油など
【n-6系】
◆リノール酸
大豆油、コーン油、ごま油、サフラワー油など
◆アラキドン酸 肉、卵、魚、肝油など

◆EPA:イコサペンタエン酸 ◆DHA:ドコサヘキサエン酸

油の疑問にお答えします

油と脂肪は違うの?1日の適量はどのくらいでしょうか?
「常温で液体の油」と「常温で個体の脂」をまとめて油脂と呼び、脂肪や脂質とも呼びます。脂質の適正量は1日の適正エネルギーの20~25%です。2000kcalの場合は44g~55gです。この中には食品中の脂質量も含まれています。調理油大さじ1杯=12gで1日2杯が適量目安です。豚ばら肉100gには脂質約40g、さんま中1匹には脂質約21gが含まれています。脂肪をとり過ぎないためには食品そのものを上手に選ぶことも大切です。

油の原料が違うと成分にも違いがありますか?
オリーブ油はオレイン酸の割合が多く約75%です。その他リノール酸やパルミチン酸などの脂肪酸も含まれています。キャノーラ油は菜種の種子、あまに(亜麻仁)油はアマの種子、サフラワー油は紅花、綿実油(めんじつゆ)は綿の種子。では、えごま油は?ゴマではなく青シソによく似た葉をもつ植物の種子が原材料でしそ油ともいわれます。

最近トランス脂肪酸という言葉を聞きましたが、どんな油ですか?
トランス脂肪酸には天然と工業的に作られるものがあり、工業的につくられるものには水素添加によって製造されたマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングやそれら原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナッツなどの洋菓子、揚げ物などに多く含まれています。トランス脂肪酸は冠動脈性心疾患による死亡、突然死、および糖尿病にかかるリスクや内臓脂肪の蓄積、脂質異常、高血圧の数値を高めるといわれています。

青魚に多いEPAやDHAを効果的にとるにはどうすればよいのでしょうか?
そのまま生で召し上がることです。EPAやDHAは青魚に限らず魚介類全般に含まれています。生以外では調理により流失した脂も召し上がることができる汁物もおすすめです。例えばつみれ汁やあら汁、ブイヤベース、シーフードシチューなどもよいでしょう。

「健康さんぽ64号」

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