みなさま、明けましておめでとうございます。年末年始はいかがお過ごしでしたか。師走という言葉が表す通り、慌ただしく過ごした方も多いのではないでしょうか。冬の寒さはとても厳しく、今後も体調面により気を付けて生活する必要がありそうです。
2025年の冬、インフルエンザは例年よりも早く流行が始まり、11月にはすでに全国的な警報レベルに達しました。今年はA型インフルエンザウイルスの亜型「H3N2」の変異株が流行しています。これは、これまでのウイルスと比べて感染が拡⼤するスピードが早いものの、症状や重症度は従来の季節性インフルエンザと⼤きく変わらないものと想定されています。
インフルエンザの早めの流行の原因として、免疫を持つ人が少なく感染しやすいこと、海外からの観光客や国内旅行者の増加に伴う曝露機会が増えていることが考えられます。
例年では、新型コロナウイルスは夏と冬に季節的流行を繰り返しており、季節性インフルエンザやかぜ(症候群)は12月〜3月の冬季に流行のピークを迎えます。つまり、冬はこれらの呼吸器感染症が流行しやすい時期となります。
その原因として「乾燥」が挙げられます。湿度の低下によって、ウイルスは空気中に長く漂い、鼻・喉の粘膜のバリア機能が弱まることで、感染しやすくなるためです。そこで今回は、感染症対策の基本のおさらいに加えて、乾燥対策についてまとめてみました。
➀ 流行前のワクチン接種
インフルエンザワクチンは、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、インフルエンザにかかった場合の重症化予防に有効と報告されています。
ワクチンはそのシーズンに流行が予測されるウイルスに合わせて製造されており、6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告されています。これは、ワクチンを接種せず発病した方のうち60%は、ワクチンを接種していれば発病を防ぐことができた、ということを表しています。また、国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています。
➁ 休養とバランスのとれた栄養をとること
睡眠時間とかぜ発症リスクの関係を調査した研究1)では、睡眠時間が短いほど、かぜ症状を呈しやすいことが分かっています。これは、睡眠不足になるとかぜに対する抵抗力が低下することを示唆しています。また、病原体への抵抗力を高めるには、バランスのとれた食生活も重要です。そのため、睡眠や食事をしっかり摂り身体の抵抗力を高めるよう日ごろから心がけましょう。

➂ 石鹸での手洗いやアルコール消毒など
石鹸やハンドソープを使用した手洗いによって、手に付着した汚れやウイルスを効果的に落とすことができます。
病原体の数は流水での手洗いにより約1%、ハンドソープでの10~30秒の手洗いと流水でのすすぎで約0.01%、ハンドソープでの60秒の手洗いと流水のすすぎで約0.001%、ハンドソープでの10秒の手洗いと流水のすすぎをそれぞれ2回繰り返すことで約0.0001%まで減少させることができます。
また、インフルエンザウイルスやコロナウイルスなどにはアルコールによる消毒でも効果が高く、アルコール製剤による手指の消毒もおすすめです。
汚れが残りやすい部位として、指先、爪と皮膚の間、手のひらのしわ、親指の付け根やふくらみ、手首が挙げられますので、それらの部位に注意して手洗いをするようにしましょう。


➃ 飛沫感染対策としての「咳エチケット」
一般に使用される不織布マスクによってウイルスや細菌そのものの侵入を完全に防ぐことは困難ですが、マスクをしている本人は鼻や喉の奥に適度な湿度を保ち、本来のバリア機能を保つことが可能です。また、マスクをすることで、会話や咳をした際の飛沫の拡散を抑えることができます。感染を広げないために、「咳エチケット」は非常に大切です。
⑤ 適度な湿度の保持
部屋の湿度とインフルエンザウイルス生存率の関係を調査した研究2)では、湿度が低いとウイルスが環境中に長い時間残ってしまう一方で、湿度を50%維持することで環境中のウイルスが短い時間で減るということが分かっています。そのため、湿度は40〜70%を目標にします。
ここでは、家庭や職場で今日から実践できる対策を紹介します。
*加湿器
就寝時・起床時に使うとより効果的です。ただし、浄水器を通した水は塩素がなくなっており、加湿器に使用することで雑菌が増えやすくなってしまうため、水道水をそのまま使用するようにしましょう。
加湿方法の種類として気化式、スチーム式、ハイブリッド式、超音波式といったものが挙げられ、加湿効率や消費電力が異なります。超音波式の加湿器では使用する水に対して加熱を行わないため、レジオネラ感染症による死亡例が報告されていることは注意するべき点です。雑菌繁殖の温床となるのを防ぐため、使用前や定期的な清掃を心がけましょう。
また、加湿器がない場合は、洗濯物や濡れタオルを室内に干したり、浴室のドアを少し開けておいたりすると良いでしょう。
*室温の調整
部屋の温度を上げすぎないことも重要なポイントです。温度が上がると相対的に湿度が下がることにつながるからです。
*保湿、肌の乾燥対策
鼻・喉の粘膜を守るケアとして、こまめな水分補給、マスクによる保湿が挙げられます。また、乾燥により皮膚のバリアが壊れると、感染しやすくなるだけでなく、皮膚トラブルの原因にもなります。
肌の乾燥対策としては
などが挙げられます。



健康に対する日々の習慣が、自分だけでなく周りの人の健康を守る大きな一歩となります。これらのことを意識して寒い冬を元気に乗り越えましょう!
「健康さんぽ109号」
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