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新型コロナ感染対策による
肌トラブル、ドライアイなどとその対処

医師 長尾 望

2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が巷の話題に上り、実際に被害が世界的に拡大した1年でした。現在は昨年11月頃からの第三波のなかで、皆さん手洗い徹底やマスク着用など、懸命に対策に取り組まれていることと思います。

感染症の対策には手洗いとマスク着用を正しく行うことは基本であり、かつ非常に重要なことです。しかしながら両者とも連日・長期継続することになると、残念ながらそれぞれ肌トラブルの原因となってしまうことがあります。肌トラブルがあると肌が従来持っている感染症に対するバリア機能が低下するため、かえって感染リスクが上がる可能性がありますので、肌トラブル対策も同時に実施していけるとよいでしょう。

肌トラブルについて

まず、何故手洗いやマスクで肌トラブルが起こるか考えてみましょう。

感染症対策には、石鹸を用いた手洗いをきちんと行うことが重要です。さらに万全を期して、アルコールのジェルやスプレーを併用していることも多いと思います。石鹸、アルコール以外にも、消毒・殺菌のためハイター薄め液(次亜塩素酸ナトリウム水溶液)で物品の拭き掃除などを行うこともあるでしょう。しかしいずれも殺菌消毒として有効ですが、肌の表面の脂質も一緒に洗い流されてしまうこともあり、肌が非常に乾燥しやすくなります。

症状

乾燥してしまうとかゆみが出たり、指先・こぶしのところなどのひび割れが生じ、痛み・出血してしまう場合もあります。傷ができると、その部位を洗浄・消毒した場合に、消毒液などがさらに刺激となって症状を悪化させることもあるかもしれません。

また、マスク着用で顔面にもかゆみやひりひりする、ニキビや吹き出物が多発するなどの症状が現れることがあります。マスクの素材には、不織布(使い捨てのもの)、布(綿、シルクなど)、ポリウレタンなどが使用されています。綿やシルクは比較的刺激が少ないようですが、素材表面と絶え間なくこすれが生じることや、マスクの素材に対するアレルギーで皮膚炎が起こります。マスクによっては、抗菌機能を持たせるために銀の素材が一部使用されているものもあるようですが、それに対して金属アレルギーを起こす方もいるようです。

また、マスク着用中はマスクの中は呼気で湿潤な状態になっていて、皮膚はややふやけていますが、マスクを外した際に一気にそれらが気化して乾燥が進んでしまうこともあります。現在の冬場のように空気が乾燥している場合はより著明に気化しますので、より注意が必要です。

一方、夏場や体を動かすときにマスクを着用している場合では、汗をかいた水分でマスクが湿った状態になり、マスクが不潔な状態になることがあります。そうすると肌荒れ・ニキビなどには非常に良くない状態となってしまうのです。

対策

・保湿と乾燥予防

対策としては、アルコールや次亜塩素酸ナトリウム水溶液での拭き掃除の際は、素手で実施せず、必ずビニールやゴムの手袋をして拭き掃除を行うようにするとよいでしょう。

そして手洗いの際はその都度、ワセリンや乳液、ハンドクリームなどで保湿と乾燥予防を行いましょう。赤み・かゆみがある、ひび割れができてしまっている、など既に肌が敏感な状態になっている場合には、乳液やハンドクリームすら刺激になって症状が悪化することもあります。そのような場合にはワセリンを用いるとよいでしょう。薬局で市販されている白色ワセリンは不純物が少なく、刺激が非常に少ないので既に肌荒れが起きているときにも使用しやすいものです。皮膚科で処方されるプロペトもほとんど同様のものとして使用されます。

・マスクの清潔を保つ

マスクは自分の肌に合うものを選び、かつマスク自体が清潔であるように保つことが重要です。不織布マスクは必ず使い捨てとし、綿・ポリウレタンなど再利用可能なものは毎日洗剤を用いてしっかり洗ってよく乾かして使用しましょう。

また、マスクの中が呼気や汗で湿る場合はこまめに汗を拭きとる、マスクを外せる環境(屋外で周囲に人がいないときなど)では外すようにしましょう。ガーゼは吸湿性があるので、汗をかきやすい人はマスクの中に綿のガーゼを一枚はさみ、そのガーゼを頻繁に清潔なものに交換して一日を過ごすのも有効です。ただし、ガーゼは必ず洗濯・乾燥した清潔なものとしましょう。ちなみにガーゼを間に挟んでいる場合も、マスクは使いすてあるいは毎日洗濯して使用します。

・優しく洗顔

自宅に帰ってマスクを外した後は、石鹸をよく泡立てて優しく顔を洗いましょう。洗う際は熱すぎる湯は使用せずぬるま湯で行い、ごしごしと擦ることもやめましょう。洗い終わった後は、化粧水・乳液・ワセリンなど、自分の肌に合うもので保湿・乾燥予防をするのを忘れないようにしてください。

これらの対策を講じていても、手や顔の肌荒れが落ち着かない、あるいは悪化していくようであれば、皮膚科を受診してよく診てもらいましょう。

ドライアイについて 

続いて、ドライアイについてみてみましょう。現在、冬場で空気が乾燥していること、またマスクで鼻・目元からの呼気が目に当たってしまうことなどで、ドライアイが生じやすくなっています。特に現在は3密を避けるために常時窓を開けて気流がある状態を保たねばならないこともありますので、より悪化している場合もあります。

症状

症状として、①目が疲れる、②目が乾いた感じがある、③物がかすんで見える、④目が痛い、⑤目が充血している、⑥目がかゆい、⑦目がゴロゴロする、⑧目が重たい感じがする、⑨涙が出る、⑩目やにが出る、などがあります。5つ以上該当している場合は要注意ですので、対策をすることを考えましょう。

マスク利用以外では、パソコンを長時間利用している、エアコンを使用した部屋にいることが多い、コンタクトレンズを使用している、運転をする時間が長い、花粉症であるといった場合に症状が出やすいようです。

対策

・湿度を50~60%に保つ

居室では適宜加湿器を使って湿度を50~60%くらいに保ちましょう。感染症対策にもなります。

・目の負担をできるだけ軽減

パソコン利用や運転時は意識的にまばたきをする、パソコンのモニターは目より少し低い位置に設置する(目を開けすぎる必要がない)、手が空いた時やひと休みする際にはこまめに目薬を使用する、といった対策をしましょう。症状が強いときには、コンタクトレンズは一時使用をやめて眼鏡にしておき、それでも改善しなければ眼科に相談しましょう。

・目薬は共有しない

目薬については本来目に接しない状態で点眼をすることになっています。しかし点眼の際に目薬の容器が目と接触してしまう人も見受けられます。目薬の共有は目の感染症を引き起こす恐れがあります。共有は絶対にせず個人個人で持参して使用してください。

「健康さんぽ89号」

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