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健康コラム君津健康センターの医師・スタッフから、
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肩こりの薬

医師 小倉 あゆみ

君津健康センターに来て、半年が過ぎました。お陰様で少しずつ仕事にも生活にも慣れ、毎日がスムーズに回るようになってきました。時間があれば好きなことをしたいのが人間というもの。私の趣味は本を読むことと、小物を作ることです。今はぬいぐるみを作ったり刺繍をしたりするのが楽しみです。うっかり夜中に手を付けてしまうと、何時間も過ぎているなんていうこともあります。そして仕事は大体座って、移動は車…子どもに振り回されている以外はtheインドア主義、立派な運動不足の現代人です。ということはもちろん、肩こりが慢性的にあります…

これを読んでいらっしゃる方の中にも、肩こりがつらい方が多いのではないでしょうか?厚生労働省の「平成16年国民生活基礎調査の概況」によると、自覚症状を持っている方は人口千人あたり317.1人となり、年齢が高くなるに従って上昇する傾向がわかっています。

肩こりで病院に行くこともあまりないと思いますし、明確な治療といえるようなものもありません。しかしながら、日常生活を送るうえで支障をきたすのは違いがありませんし、悪化すると頭痛がして起きているのさえつらい場合もあると思います。

肩こりには、様々な原因があります。眼精疲労、メガネが合わない、花粉症などの鼻炎、歯の噛み合わせ、虫歯、姿勢の悪いこと、手や指の使い過ぎ、冷え、ストレス、洋服が合わない…何か思い当たる節はありませんか?原因がわかれば、自分にできることもわかってきます。まずは、治せるものは治すことです。それから、筋肉を動かし血流を改善することです。

ちなみに私が今まで試してきて効くなと思うのは、①肩甲骨中心のストレッチ(左右の肘を背中側でできるだけ近づける)、②寝方を変える、③枕を変える、④お風呂にゆっくり浸かる、⑤肩の温枕をする、⑥ホットアイマスクを使う、でした。人によって凝る場所も違いますし、もともとのお病気によってはやってはいけないことが含まれる場合がありますから、ご自分が実行して大丈夫か十分にご注意くださいね。

そしてあまりにも症状がひどい場合や、急に悪化する場合は、ただの肩こりでなく他の病気の可能性もあることも知っておいてください。(頸椎症、頸椎椎間板ヘルニア、胸郭出口症候群、肩関節周囲炎、肩腱板損傷、線維筋痛症、急性心筋梗塞の放散痛など)

最後に一つ、印象に残った話をご紹介したいと思います。肩こりや腰痛がひどかった方が一念発起して会社員をやめ、マッサージ師になり人をケアするようになったら、ご自身の痛みがなくなったそうです。体を動かすようになったこと、自分のことを見つめなおしたこと、人のことに心を向けるような生活になったこと、いろいろな原因があると思いますが、何とも象徴的なことだと思いました。

だんだん冷えてくる秋の夜長、寒さ対策と姿勢維持に気を付けて趣味を楽しみ、たまには家族の肩もみもしようかな?と思っています。

「健康さんぽ64号」

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