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健康コラム君津健康センターの医師・スタッフから、
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花に教わる健康管理

医師 小倉 あゆみ

学生時代、華道部に所属していたことからはじまり、今でも生花を家に飾っています。これをお読みの方には、お庭で花や野菜を育てるのを日々の楽しみにされている方もたくさんいらっしゃることと思います。いつか私のこの手も緑の指(園芸の上手な人)になったら、と思うのですが、今はまだ茶色の指(園芸の下手な人)。庭もないので、ベランダの鉢で少し育てているのに加えて、普通のスーパーで食材と一緒に1、2本買ってくるだけです。それでも、あるとないではその場の空気ががらりと変わります。私の中では、花は目で食べるビタミンたっぷりの野菜、目で飲む薬、といった印象です。

家じゅうに花を飾れたら華やかでよいですが、なかなか世話も大変です。一か所どこかに手始めに飾るのであれば、私のおすすめはキッチンです。一番目につくところだからです。朝起きて「今日も頑張ろう」と台所に立った時、食事の準備や後片付けで「疲れたなぁ」と思った時、「ゆっくり寝よう」とベッドに入る前のホットミルクを飲む時などにふと視界に花の姿が目に入ると、とても気持ちが落ち着きます。それに、硬かったつぼみが開いて花びらの色がちらりと見えるなど花の変化に気づくことができます。水替えの手間が少ないなど便利なため、枯らしてしまう心配も少なくなりますしね。
そして、キッチンの花は私の心身のバロメーターでもあります。花を選びに行けずにキッチンがなんだか寂しい時や、飾っていた花が気づかぬ間に傷んでしまったときなどは、「忙しすぎたかな?」「体調が悪いかも?」と自分自身を振り返る機会になるのです。

家で楽しめるのは生花だけではありません。私はドライフラワーも好きです。同じ花でも瑞々しい時とはまた趣の異なるたたずまいを楽しめますし、一輪の花を長く楽しむことができます。二月、三月ごろの空気がとても冷たく乾燥している時期はドライフラワーづくりに向いています。逆さにして干しておくだけで、ものによってはその辺に置いておくだけでも色を残して美しいドライになります。お肌もそれだけ乾燥してしまうわけですが…(涙)
反対に、梅雨になると湿気を吸って萎れてしまうので、管理が困難です。
例えば、紫陽花もドライにすると通年で楽しめるのですが、上手にドライにするのが難しい。そこで、比較的失敗しにくい作り方を一つ。雲の合間から夏の日差しがのぞいたら、車の中に花を置いてみてください。熱く乾燥した車内の空気がステキなドライを作ってくれます。ですが、読者の皆様は暑い車内でお昼寝などしないよう注意してくださいね!小さなお子さんやご高齢の方にも注意してあげてください!

最後に花のいいところをもう少しご紹介します。
まず、花はお出かけする理由になります。せっかくのお休みの日なのに、することがなーい!もったいなーい!そんな時は、そろそろあの花が咲くから見に行こう!と外に出るきっかけを作ってくれるのです。変わり映えのないご近所の風景も、季節の野花に意識を向けるとステキなお散歩コースになって楽しいですよ。有酸素運動にもなって美容と健康にも嬉しいですね!
また、花はステキなコミュニケーションツールにもなります。「こんな花を見たよ」と教えてあげる、家で咲いた花を摘んで持っていく、帰り道に一輪求めて家族のおみやげにする。人に会う時、気持ちが小さな形となって相手の心をほころばせることと思います。
今年の夏、皆様も素敵な花々に出会えますように。

「健康さんぽ75号」

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