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血液の話

血液は私達の体の隅々まで行き渡り、約1分で体内を1周しています。血液量は体重の約1/13で、成人の血管の長さは全身で約10万㎞。これは地球を2周半する程の長さです。成分は赤血球(酸素の運搬)、白血球(細菌や異物の処理など体の防御)、血小板(止血)などの細胞成分が45%、残り55%は液体である血漿(栄養素・不要物の運搬や体温調節)です。

他人の血液を混ぜると、血液が固まる・血球が壊れるなどの場合と、そうでない場合があります。この性質から血液を分類したものが血液型で、いろいろな分け方があります。日本人は血液型の話が大好きです。人と知り合うと血液型を尋ねることも多いと思います。そんな時の血液型はABO式分類です。日本人はA型40%、O型30%、B型20%、AB型10%の割合です。ちなみにアジアはB型、アメリカはO型、ヨーロッパはA型が比較的多いようです。そのほかにRh式血液型分類があり、日本人ではRh(-)は0.5%で、少ないと言われるRh(-)AB型の人は2000人に1人です。骨髄移植の際に必要なのはHLA型分類で、型は数万通り以上あり、兄弟姉妹でも一致するのは25%、それ以外で一致するのは極めて稀です。

ABO式血液型は両親から1つずつ遺伝子を受け継ぐことで決まります。ABO型の遺伝子にはA・B・Oの3種類あり、AとBは表現性が強い優性遺伝子、Oは表現性が弱い劣性遺伝子で、表現性の強い遺伝子の型で表現されます。(表)なかには特殊な型の人も稀にいて法則に当てはまらない場合もあります。また、骨髄移植や病気によって血液型が変わる事もごく稀にあります。血液型検査は、新生児のうちは反応がうまく出ない事もあるので、小学校入学頃に行うのが良いようです。

ところで、血液型といえば一般的に皆さんの関心は性格診断や相性占いなどにあるようです。例えば、A型は几帳面、B型はマイペース、AB型は二重人格、O型はおおらか、といったものです。当たっていますか?血液型が性格に影響するかどうか、現在は証明できていません。置かれた環境なども影響するはずです。しかし、この性格診断では多数派であるA型・O型を好ましい性格にする傾向があり、結果的に多くの人が信じ、広く浸透しているようです。また、血液型別にかかりやすい病気があるという説なども興味深いですが、やはり証明できていません。
いずれにせよ、血液は全身を巡り健康維持の上で大事な役割を担っています。例えば、中性脂肪が高値な人の血液(左写真:遠心分離後に冷蔵庫で保存したもの)は、全体がにごり、油の多い料理が冷めた時のように脂肪分が浮いて層になっています。これが体中を流れると思うと怖いですね。そうなる前に、健康診断を受診した際の血液検査の結果は無駄にせず、ぜひ日常の健康づくりに役立ててください。


『手のひらを太陽に』という歌の歌詞に♪真っ赤に流れる僕の血潮~♪とあります。作詞はあのやなせたかし氏。人生に悲観し追い込まれ、暗がりで冷たい手を懐中電灯で温めながら仕事をしていた時、ふと自分の手を見ると真っ赤な血が見え、そして自分は生きているんだ!その喜びを謳歌して頑張らなくちゃ!と自分を励ますために、この詞を書いたそうです。

「健康さんぽ56号」

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